堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

音楽療法やレクリエーションで
失語症の方をサポートする際に注意する点を2つ
お話しします

先日こんなご質問をいただきました。


堀田先生

いつもメルマガを読ませていただいています。
Aと申します。

私は
高齢者のディサービスの介護職で
レクを担当しております。

そのレクには、
失語症の方(女性)も参加されているのですが
なかなか思うようにサポートできず
今、悩んでいます。

何かアドバイスいただけたらと思い
メールしました。

その利用者さんは
3ヶ月くらい前から通所されるように
なったのですが
ご自分からは発語はほとんどありません。

でも
こちらの話は理解されていますし、
質問にはゼスチャーで答えたり
「おはよう」と「さようなら」「そうね」
の単語は話されています。

私としては
その方にレクをもっと楽しんでいただき
できればもう少し発語が出るように
なっていただけたら
いいなあと思って頑張っています。

ちなみに
レクでは体操したり
みなさんに元気を出していただくために
明るくテンポのある曲を選んで
全員で歌っています。

楽器は
鳴子をみなさんで
歌いながら鳴らすことも
たまにあります。

こんな内容で
レクを進めていますが
先ほどの失語症の方は
楽しまれている様子が
見られないのです。

何かを変える必要があるとは思うのですが
自分ではわからないのです。
アドバイスいただけますでしょうか。

Aより


ということでしたので
次のようにお返事しました。

Aさま

いつもメルマガをご購読
ありがとうございます。

堀田です。

いただきましたお悩みについて
お返事いたしますね。

次の点を考えてみることを
提案します。

それは

『リラックスできる雰囲気にする』

ということです。

なぜなら
失語症の方が緊張が高いために
レクを楽しめていない
のでは
ないかなと考えたからです。

もしかしたら
その利用者さんは
まだご自分の居場所が見つけられて
いない
のかもしれません。

また
言葉が出にくいことを
恥ずかしく思ったり
ひけめに感じていらっしゃるかも
しれません。

そうだとすると
まだ緊張されていることが
予想されます。

なので
まずはレクの場を
リラックスできるよう
環境を整えていくと良いと思います。

具体的な例をあげると

  • レクの始まる前に歌詞のない音楽のBGMを小さい音量で流す
    レクへの誘導の際に会場に静かに音楽が流れることで
    緊張感が和らぎます。
  • 職員がサポートしやすい席に座ってもらう
    職員さんが自然に声をかけやすい位置に
    座っていただくと
    孤独にならず参加しやすくなります。

そしてもう一つ。

選曲についてです。

お話を伺ったところ
レクでは明るくテンポの早い曲を
歌われるようですが

『ゆっくりしたテンポの曲』

も取り入れてみてください。

失語症の方は
時間をかけて発語する方も多い
と思います。

ですので
歌う曲もゆっくりしたテンポの曲(ふるさとのような曲)
も入れてみるのです。

そうすると
焦らずに発音できるので
発語へのモチベーションアップも
期待できると思います。

ぜひ
試してみてくださいね。

堀田


というように
お返事しました。

実はこの他にも
失語症の方の
発語を促したり充実感や達成感を
感じていただくサポートのコツや
音楽を使ったプログラムは
まだまだあります。

その具体的なお話しは
音楽療法セラピスト®養成講座
「脳血管性障害の音楽療法」

でお話ししています。

失語症の方のサポートや
レクの進行にお悩みの方には
オススメです。

それでは
今日はこの辺で。

音楽療法セラピスト® 堀田圭江子