堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

音楽のすごさを、毎日のように体験できることに感謝しています。

今日は失語症の方の音楽療法をやっていて
すごーいと感じたお話です。

失語症は脳出血や脳梗塞などによる脳にダメージを受けてしまい、
読み、書き、話すことに障害がある状態です。

カラダにも麻痺が残る場合があります。

 

過去に、
失語症の方だけを集めたグループで音楽療法したことがあります。

 

その中で
70歳台の男性がいました。

彼は左半身麻痺があり、言語も自由に話せない状態でした。

こちらの話は理解できるものの
自分から話す時は、なかなか言葉が出にくいので

いつもイライラしていました。

 

私が

「○○さん、お名前をお願いします」というと

「うん、うん」しかいいません。

 

めんどくさいのか
話す意欲さえなさそうに見えました。

 

そんな彼でしたが

音楽療法のセッションを始めて3ヶ月も経つと
ゆっくりですが自分の名前が言えるようになりました。

「あー、あー、あーかー○ー」

 

セッションでは

彼の好きな歌をプログラムにいれました。

★北国の春

★銀座の恋の物語

★王将

★ふるさと

などなど…

 

彼は

歌詞を読むのはひっかかってしまいますが

歌うときはなんの問題もなくすらすら歌えるのです。

 

音楽ってすごい。

 

それからは
彼は筆談もやめ、ゆっくりでも自分の言葉で会話するようになりました。

 

音楽の力で

彼は自信を回復し、周囲とのコミュニケーションを獲得したんですね。

 

失語症の方のこうした例は

数多くあります。

 

これからもまた増えていくと思います。