堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

こんにちは。
堀田です。

さて、本日は上手くいかない時は「基本に戻る」というお話しをしてみたいと思います。

 

突然ですが、
あなたは、頑張ってもうまくかない時どんな方法で打開していきますか?

私の場合(音楽療法では)、クライアントに対して治療目標を設定しプログラムを組み
セッションしていきますが、なかなか予想した結果や反応が出ないことがあります。

例えばこんな場合、、、

認知症の方で、「歌が好き」「音楽が好き」「会話も少しならできる」という前情報があり、
セッションでは、その方が知っているだろうと思われる歌謡曲や童謡唱歌も歌ったみたが
起きてはいるが歌わず、表情も変化なし、質問しても答えなし。
小人数のグループで5回実施。

というような場合
どうしたらよいでしょうか?

  • 好きな曲をクライアントに質問する
  • 歌詞カードを見やすいものに変える
  • 聞こえずらい方なのかもしれないので、耳元で一緒に歌う
  • 選曲の幅を広げて、1回のセッションでもっと多くの曲を歌う
  • セッションの後などに、個人的に声をかけてみる

などが打開策として考えられるかもしれません。

実際
私もすべてを試してみました。

しかし
10回目のセッションまでは、クライアントさんは変わりませんでした。

ところが
11回目のセッションのプログラムに頭を悩ませていた頃
あるお食事会で
「堀田先生、音楽療法のいいところってどこですか?」と質問されました。

私は
「それはねー、強制しないで、相手を尊重するところですよー。」
と答えていました。

それで
答えた後に「んん?今、私なんていった?」

「ああああああ!わかった!」

と一人で小躍りしていました。

解説します。

私は反応が芳しくないクライアントさんに
選曲を変えたり、アプローチを変えたりしていました。

もちろん悪くはないのですが
そんなことよりももっと大切なことを見落としていたのです。

それは
「強制しないで、クライアントを尊重する」ということです。

これはまさに
音楽療法の基本中の基本でありました。

クライアントさんは
きっと私のあれこれの作戦に

「強制感や押しつけ感」

を感じられていたのだと思います。

そのため
表情も硬かったのかもしれません。

ああ、うかつにも基本を見失っておりました。

 

そして
11回目のセッションから、

私はクライアントさんの観察を一から始め、
改めて与える(押し付ける)サポートから、引き算のサポートへと変えました。

 

その後は
お察しの通りです。

うまくいかない時の打開策はいろいろあると思いますが
「基本に戻る」というのはなかなかおすすめです。

あなたもよろしかったら基本に戻って打開してみてください。

さて、
音楽療法の基本は「音楽療法概論」でお話ししています。

音楽療法に興味をお持ちの方、実践されている方、もっと深めて学びたい方、
どんな方にもわかりやすくお伝えしておりますので
ぜひご参加ください。

音楽療法セラピスト養成講座
「音楽療法概論」

では、本日はこのへんで。

音楽療法セラピスト 堀田圭江子