- 堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
- 洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。
「あばれる女性が落ち着いた」というお話しをします。
ある高齢者の入居施設でのことです。
90代の女性Aさんが数年前から音楽療法に参加するようになりました。
その方は
精神疾患がありますが、投薬はありません。
常に
独り言を言ったり、他人をにらみつけたりしています。
また
何かのきっかけで
大声で「ばかやろー」「お前なんて出て行けー」などと言ったり。
衣服の着替えやトイレの際には
介護職員さんは3人がかりで対応するそうで
ひっかかれたり噛み付かれたり髪を引っ張られたりすることが毎回とのこと。
さらに
自分の手を自分でたたいたり、噛んだりすることもあります。
そんなAさん
音楽療法に参加し始めた頃も大暴れしていました。
ある日は
部屋に入室するなり、非常に怒っており
ピアノのそばに車椅子で座ってもらってところ
ピアノを蹴飛ばすこともありました。
また
セッション中、他の参加者に対して
「お前は出て行けー」「このばかものー」と叫ぶこともあったりして
セッションが中断されることもよくありました。
しかし
セッションの回数を重ねるごとに
徐々に、落ち着いていきました。
特に変化の大きかったところは
太鼓のプログラムです。
当初は
太鼓を叩く際、
「憎しみをこめて全身の力で思い切り叩く」という叩き方でした。
それが
少しずつ変化し、「片手でリズムよく叩く」という叩き方になったのです。
今では
最初から最後まで
声を荒げることもなく、穏やかに参加しており
介護職員さんも「別人のようですね」と驚いています。
落ち着き、穏やかに参加できるようになったAさんですが、
それには理由がありました。
それは
治療目標を設定してセッションを行ったからです。
最初Aさんにお会いした時
彼女はいつもイライラしていました。
その様子を見た時、
どのような治療目標を立てたらいいかと悩みましたが
怒りの状態を抑えるのではなく、
まずは発散してみるのはどうかと思ったのです。
そこで
そして
Aさんはその治療目標の設定とおりに
太鼓のプログラムで思い切り体を動かし怒りを
自分の外に出していきました。
まとめ
適切な治療目標の設定は
クライアントさんの変化を導くことできます。
とはいえ
クライアントさんはいろいろな症状ですし
一人として同じではありませんね。
音楽療法セラピスト養成講座「事例研究」の講座では
先ほどのAさんの変化をはじめ、
今まで堀田が担当したクライアントさんたちの症例を紹介しながら、
適切な治療目標の立て方について詳しくお話します。
- 治療目標の立て方がわからない
- なかなか今やっている活動の効果が上がらない
- マンネリ化を脱出したい
とお悩みの方には特におすすめです。
音楽療法セラピスト養成講座は10講座ありますが、
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