堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

今日は高齢者施設で「いじわるな言動が減ったAさん」というタイトルで
音楽療法の効果についてお話しします。

ある高齢者施設に入所している
認知症の80歳代女性のAさん。

同じテーブルに座る人に対して
視線が合うと「あっちいけ」「ばか」と言っていました。

また
Aさんの横を通りすぎる職員さんの洋服を急に引っ張ったり、
テーブルの上のおしぼりを下にぶちまけたりしていたのです。

そんなAさんの言動の理由を
職員さんたちは「不満が溜まっているのではないか」と
分析されていました。

そして
その不満を解消するための1つの方法として
音楽療法があげられ
Aさんはセッションに参加することになったのです。

さてそのAさん、初回の音楽療法では、

太鼓のリズム模倣の際、
私が「私の真似をして同じリズムを叩いてくださいね」と言うも
わざと違うリズムを何度も叩き返してきました。

予想通りではありましたが
見事に完敗でした(涙)。

また
歌の歌詞をホワイトボードに貼った時点で
「そんなの小学生が歌うやつだ」と言ったり。

質問をすると
「そんなこと聞いてどうするんだ」
などと発言していました。

私は
「そんなこと言わないでよー」と心の中で言いつつ
なんとか負けないように頑張っていました(汗)。

そんなやりとりを
2ヶ月ほどしたあるセッション。

いつものように
太鼓のリズム模倣をした時のことです。

私が「タンタタタン」と叩き
Aさんに太鼓を差し出すと
「タンタタタン」と返してきたのです。

えっ!今、同じリズム?!

私は驚きのあまり
一瞬、褒めることを忘れてしまいましたが、

「すごい!できました!Aさんできるじゃないですか」
と褒めると、

Aさんは誇らしげに「うん」とうなずきました。

また
歌のプログラムの時も
質問に対して的確に答え、文句のような発言が
なくなっていたのです。

そして
同時期に生活の中でも
以前のような言動が見られなくなったと
職員さんからお話がありました。

そのAさん、
今ではすっかりグループのムードメーカー的な存在。

音楽療法セッションでは他の参加者に対して
「頑張れー」「ほうら、できたじゃないか」などの
応援や賞賛の言葉が出るほどです。

まとめると

このように音楽療法は
認知症の方にみられる不満やストレスが原因の言動を
良い方向へ変容させることもできます。

ですが
そのためには
適切な目標の設定やプログラムが必要になります。

でも
クライアントさんは一人ひとり
異なる特徴や症状であるため
適切な目標設定を行うのは簡単ではありません。

どうすればいいの?
とお悩みの方も少なくないかもしれませんね。

そんなお悩みにもお答えできるのが
音楽療法セラピスト養成講座「高齢者の音楽療法1」です。

適切な目標設定の方法や
プログラムの組み立て方について詳しく解説します。