堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

今日は前回の「ピアノのレッスンにも有効な音楽療法(アセスメント編)」に続き
「ピアノレッスンに有効な音楽療法(実施編)」

のお話しです。

前回の「ピアノのレッスンにも有効な音楽療法(アセスメント編)」で、
ピアノのレッスンを楽しく行うためには
お子さんの特徴をよく観察することが大切
ですということをお話ししました。

今回の実践編では
音楽療法のエッセンスを
実際のレッスンで取り入れた例を
ご紹介したいと思います。

こんな生徒さんがいました。。。

小学2年生の女の子。
ピアノは嫌いじゃないのですが
家では練習をしないようで
なかなか先に進めないという状況でした。

実は
その子は塾やスイミングにも通っていたので
ピアノを練習する時間は少なかったのだと思います。

なので
ゆっくりしか進まなくても
仕方ないかなという思いがありました。

一方、
お月謝をいただいている以上は
なんとか弾けるようにしてあげなくちゃという気持ちもあり、
私もモヤモヤしていました。

そんなある日
私は思い切って彼女に聞いてみたのです。

「○○ちゃん、ちょっと教えて欲しいことがあるんだけどお話していい?」
と切り出しました。

そうすると
「うん、いいよ。」と答えがありました。

「○○ちゃんは、ピアノをもっと弾けるようになりたいかな?
それともここで楽しくすごしたいかな?」
と私は質問しました。

そうしたところ
しばらく考えて、、、、、

「ゆっくりしたい」と答えたのです。

私は驚きながらも
「ゆっくりしたいんだ。そうなんだ。わかったよ。」
と言い、

「じゃあこれからは、
ゆっくりできる時間も入れながらやっていこうか。」
と提案すると

今まで見たこともない笑顔で

「うん」

と答えました。

それで
実際のレッスンでは

彼女のその日の体調やモチベーションの有無を見て

  • 講師(堀田)が弾くピアノを聞いてリラックスしたり
    レッスンへの気持ちを切り替える

ということを実践していきました。

そうすると
数ヶ月後、
彼女は自宅で練習するようになったのです。
(とはいえ、ほんの少しですけど)

そして
お互いにレッスンを楽しくできるように
なりました。

まとめ

ということで
ひとつの例をご紹介しましたが

ここで取り入れたことは
「対象者の気持ちに寄り添う」という音楽療法の基本姿勢です。

対象者には
その人の思いがあり、それはその人にしかわからないものです。

ですから
私たちはその人に「どうしたいのか?」「どんなきもちなのか?」を
率直に尋ねてみることが必要になります。

ピアノのレッスンで
生徒さんたちに質問できる場合は
ぜひ聞いてみてください。

私たちが予想もしていない答えが出るかもしれませんよ。

そして
生徒さんの気持ちに寄り添いながら
どんなレッスンにしていくのがベストなのかを
一緒に考えていかれるといいのではないでしょうか。

参考にしていただけましたら幸いです。

この他にも
レッスンに活用できる
音楽療法のエッセンスの具体的なお話は
こちらで紹介しています。

音楽療法セラピスト養成講座
「障がい児の音楽療法」

ぜひご確認くださいね。

それでは
今日はこの辺で。

音楽療法セラピスト 堀田圭江子