堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

「ある男性についての悩み」についてです。

といいましても、恋愛の悩みではありませんので、あしからず(笑)。

その男性とは
私が音楽療法を実践しています高齢者施設に入所されている方で、、、、

70代、脳溢血による後遺症で失語症と右麻痺、認知症も併発しています。
脳溢血は50代後半に発症、施設には10年前に入所。

さらに
てんかん発作もあり、ちょっと注意が必要です。

その彼、数ヶ月前から音楽療法セッションに参加し始めました。

実は参加のきっかけが素晴らしいのです。

そのきっかけとは、、、

音楽療法セッションは通常クローズされた部屋で行うのですが、
たまたまその部屋が使えない日があり
食堂で行ったことがありました。

その食堂で行っている音楽療法セッションを
彼も食堂にいて、遠巻きに見ていたそうなんです。

そして
音楽療法セッションが終了してから彼は職員さんに近づき
「あれ、やりたい」と言ったとのこと。

職員さんは驚いて
「え?◯◯さんほんとですか?太鼓とか歌をしたいですか?」と確認すると

彼は「うん、うん」と答えたそうです。

職員さんはとても驚かれたようで
「先生、◯◯さんから何かをやりたいということなんて今までなかったし、
そんな意欲があるなんて普段の生活ぶりからは想像できなかったです。
ほんとにびっくりです。」と私に言いました。

そして
「なので、本人のやる気を尊重して、音楽療法セッションに参加させてください」
と依頼があったのです。

私も20年以上音楽療法を実践していますが
クライアント本人から「音楽療法をしたい」と言われて
セッションをしたことはほとんどありません。

多くの場合は
家族や介護する周囲の人たちの依頼です。

しかし
今回は本人からの希望であり
私も嬉しい気持ちで
「そういうことなら、ぜひ参加してください」と了解し
彼の音楽療法セッションが始まりました。

さて
始まって、最初の頃はやる気も見られ、
質問すれば答えるほどの発語はあり、太鼓のプログラムでは
しっかりした音で太鼓をたたいていました。
(ちなみに、彼への治療目標は「発語を促す」)

もちろん
音楽療法セッション最後まで顔をあげて起きていたのですが、、、

最近は
意欲の低下が見られ、自分の名前を言える日と言えない日があります。

セッション中、顔を下にしている(寝てはいない)時間もあり
元気がない様子です。でも、太鼓はできます。

という彼を
見ていて私はちょっと悩んでおります。

「なぜ彼は元気がないのだろう???」
「自分から音楽療法セッションに参加したいと言ってたのに、、、」

しかし
悩んでいますが、心は暗いわけではありません。

こんな時こそ
セラピストはやらねばならないことがあります。

ずばり
「対象者理解をする!」ことです。

もう一度
彼についての情報を見直し、そして自分の目で耳で
彼と向き合って話をしてみることが必要です。

そして
正確に彼を知り理解した上で
再度治療目標を設定する。

「悩んだら基本に戻る」ですね。

来週までに実行しますので、またご報告できたらと思います。

さて
彼のように脳溢血による中途障害になった方への音楽療法は
認知症の方の音楽療法とは違います。

その実際をお話しできるのが
「脳血管性障害の音楽療法」の講座です。

失語症や高次脳機能障害の方と
接するお仕事やご家族の方にはオススメです。

受講生の感想も参考にしてください。

「脳血管性障害の音楽療法」に参加された方の感想

※Tさん 女性(50才) 養護学校教員

堀田先生の実践からさまざまな実例が話され、とっても興味がもてた。
お話しをきいて高齢者の音楽療法にも挑戦してみたいと思いました。

失語症プログラム注意点のコツ(セッション前のチェック)
ありがとうございました。大事にします。


※Hさん 女性(54才)専業主婦

脳血管性障害は専門的なことが多いのではないか、
理解できるのかが不安でしたが、先に認知症の勉強をしていたので、
脳血管性障害との違いなどがわかって考えやすかったと思います。

正しい理解をすることで、対応の仕方がよく分かるのだと感じました。

プログラムを組むときのワークでは少し欲張ってしまいましたが、
やはり効果を得るためには、目標を絞ったほうが良いことが分かりました。

実習(次回)まで時間があるので勉強をしておきたいです。


※Kさん 女性(53才)介護職

ディサービスで高齢者に音楽プログラムを提供しているが
単に楽しませるだけの内容に満足出来ず悩んでいました。

先生がこれまでのキャリアの中で、悩まれたことも含めて
お話しくださったことにとても心打たれました。

これからも宜しくお願い致します。


※Fさん 女性(64才)会社員

もっと早く来ればよかっと少し悔しい気があります。

今回先生の講義を受けて、自分で気づけない視点があると気づいた。

例えばブローカー失語の方が「生麦生卵」を言えないとセラピストが決め付ければ、
それ以上の展開は起こらないということにハットした。

とても理解しやすい内容でした。ありがとうございます。

楽しむレクリエーションや単元を得ていく音楽教育との違いが分かりました。
効果を出すためのアセスメント、目標設定、計画のプロセスとそのスキルの考え方を
もっと知りたい、修得したいと思います。

今後とも宜しくお願いします。


※Tさん 女性(45才)その他

実習が始まり、認知症だけでなく
脳血管性障がいの方へのサポート等学びたいと思い参加しました。

医学知識だけでなく、心の状態や選曲の仕方など
具体的に教えていただき理解が深まりました。

毎回、心が元気になって帰宅しております。
とてもpowerを使って一日を過ごしているはずなのに、
身も心も軽くなっている自分がいます。それが嬉しくて、、、

どうぞ今後共宜しくお願い致します。
ありがとうございました。


※Hさん 女性(53才)専門職

障がい児のレッスンにあたり、脳症にかかり障がいが残ってしまった子に
どのように対応していけば良いのか、また脳血管性障がいの知識を得たく参加しました。

脳血管性障がいの知識、サポートの際の注意点など
具体例を交えてお話しくださったのでわかりやすかったです。

セラピストたるもの自分を理解し、自分が幸せであって初めて
人のお世話ができるという話も説得力があります。

いつも楽しくエネルギッシュな講座をありがとうございます。
あっという間に時間が過ぎ、睡魔には無縁です。

今日も元気をいただくことが出来ました。


※高柳さん 女性(32才)看護師

具体的なエピソードがたくさんあってイメージ化しやすかったです。

ついついいつも息子におせっかいをしてしまうので、
見守る強さをもっと身につけたいと思いました。

難しい話ではないのに、中身が深いので今日も最高でした。

いつもありがとうございます。


※Kさん 女性(44才)その他

失語症にもタイプがあることなどよく分かりました。

音楽療法を知れば知るほど奥が深いなと思いました。

あっという間でしたが楽しい一日でした。
また次回よろしくお願いします。


参加いただいた皆さんありがとうございました。

 

詳細はこちらで確認して下さいね。
「音楽療法セラピスト養成講座」

では、今日はこのへんで。

音楽療法セラピスト 堀田圭江子