堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

こんにちは、堀田です。

さて、本日は「失語症のケア」についてをお話しします。

高齢者施設では、「失語症」の方々をよく見かけます。
あなたの周りでも、失語症の方がいらっしゃるかもしれませんね。

失語症とは
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢が損傷されることに
よって、一旦獲得された言語機能を障がいされた状態です。

人間は言語を使ってコミュニケーションをとっているので
言語が使えないことは非常に厳しい状態になります。

失語症には大きく分けると3つの分類ができるかと思います。

  1. 運動性失語
  2. 感覚性失語
  3. 全失語

運動性失語とは、

こちらの言っていることは理解できますが
自発的な言語はたどたどしいもの。
どのような質問にも同じ言葉や音を繰り返す状態。

感覚性失語とは、

流暢に言葉を発するのですが、
質問に対して内容が対応していない。
意味不明だったりする。

全失語とは、

読み書き理解の全てが障がいされてしまう状態です。

もちろんもっと細かく分類もできますが
おおまかにはこの3つをまずはおさえておきたいところです。

失語症のクライアントさんとの音楽療法のポイント

私のクライアントさんにも失語症の方がおられます。

症状も原因も違いますし治療目標は様々なので
「これさえやったら間違いない!」というようなことはいえないのですが、

普段、セッションを実施する際に私が気をつけているポイントを
今日は少しご紹介したいと思います。

話しやすい環境を作る

私たちは話すことは無意識にできますが
失語症の方は、発語することに「緊張感」を覚えるかもしれません。

質問に対して「こう言いたい」という気持ちがあっても
口から発せられる言葉が違うものだったり、思い通りにできなかったり
頑張って頑張って言おうとしたりする時はとても高い緊張が起こります。

また
言葉を選んだり、どのように答えるのがいいのかと
思案したりする場合は時間がかかるかもしれません。

そんな時
周りにたくさん人がいたり、ざわざわしていたり、
テレビの音が大音量で流れていたら、
自分がしようとしていることに集中できませんね。

また雑音がないとしても
今度は考えている最中に
「○○さんは、こう言いたいのよね」「○○でしょ」などと
自分の考えや意見を他人から決めつけられたらどんな気持ちになるでしょう。

せっかく
話そうと頑張っていたのに、やる気が失せてしますかもしれません。

 

ここでは
すぐに助け舟を出してしまうのではなく
クライアントさんの緊張を和らげ、自発性を尊重し、
待つことをしていきたいところです。

 

というように
失語症の方へのサポートの際のポイントは

「雑音がない、落ち着いて考えられる、
安心してゆっくりと時間をとれる環境」

を提供することだと思います。

 

私が音楽療法を実施している施設では
クライアントさんとスタッフだけの少人数の部屋で行いますし

失語症の方が発語するまでの時間をとり
答えを急がせることなく待つことをしています。

そうすると
クライアントさんたちはリラックスし、
安心して自分のペースでお話しできますし
予想外の反応も出てきます。

なので
まずは話しやすい環境を心がけていただき
さらなるサポートにつなげていただけたらと思います。

さて
話しやすい環境が設定された後のサポートには
失語症の方の心理を理解することも必要になります。

それから、、、、、、

この続きは
音楽療法セラピスト養成講座
脳血管性障害の音楽療法」の講座にてお話しします。

実例を交えながらわかりやすくお話しています。

では、今日はこのへんで。

季節の変化の時期でもあります
どうぞご慈愛くださいませ。

音楽療法セラピスト 堀田圭江子