堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

こんにちは、堀田です。

さて今日は前回のお話しの続編でございます。

前回は、
ある認知症の女性で、発語がない方のお話しでした。

それで
7年前の記録を読み返したところ、発語が減ったきっかけがあり
次のことが浮かび上がってきたと。

(前回の復習)
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▲1つめは、
 「入退院を繰り返したこと」

入院中は臥床している時間が長いため、人とのコミュニケーションも不足します。
食事の時やトイレの時以外会話がなかったかもしれません。
そのように話す必要がない環境におかれていたのではないでしょうか。

また、入院中は運動量も少ないですし、自力でできることがあっても
転倒などの危険防止のため自力での行動は制限され、
さらにできることは少なくなっていたかもしれません。

それでは脳への刺激も少なくなるでしょう。

 

▲2つめは、
 「音楽療法での担当職員が異動になったこと」

そのクライアントさんは、
職員や他の人誰とでも仲良くなれる性格ではありませんでした。

ある特定の職員との信頼関係が強く構築されており、
その職員が音楽療法の担当にもなったため
積極的にセッションに参加できたのではないかと思われます。

しかし、
退院してきたらその職員ではなく他の職員に交替しており、
ショックだったのではないでしょうか。
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この2つのことをベースに

発語を促すために次のようなアプローチを考えてみました。

  1. クライアントが答えなくとも、どんどんこちらから話しかけていく
    また、クライアントが意思表示をするまで、何度も話しかけたり、
    答えを出すまで時間をかけて待つ
  2. クライアントに発声の真似をしてもらう
    例えば「あー」とか「おーい」とかクライアントに呼びかけて
    真似してもらう
  3. 異動になった元音楽療法担当職員にクライアントとのコミュニケーションのコツを聞く
    きっと彼女なりのコツがあるはずですので、そのコツを教えてもらい
    音楽療法でも試してみる

いかがでしょうか。
もしも、あなたのクライアントさんにも似たような方がいらしたり
同じようなケースがありましたら、参考にしてみてください。

また
これだけが正解ではありませんので
実際にクライアントさんにトライしてみて
ダメであれば、また次の方法を考えるようにしてみたいと思っています。

このように
記録を残してさえいれば、つまずいたり壁にぶつかった時でも
乗り越えるためのヒントを見いだせるものです。

 

毎回の記録は時間を必要としたり
面倒くさいものではありますが、

しかし
記録は宝ですので、ぜひ残しておきましょう。

そして

その記録と同じように大切なのは評価です。

記録をして
そのデータをどのように評価するのかも、
音楽療法を効果あるものにするためには必要不可欠です。

でも
記録と評価にはひな形もルールもありませんので
自由な分、どこからどのようにつけていったらよいのか見当をつけにくいかもしれません。

それでもしも
記録と評価の書き方や方法でお悩みでしたら

音楽療法セラピスト養成講座
記録と評価」の講座にぜひいらしてください。

会場でお待ちしております。

では、
今日はこのへんで。

音楽療法セラピスト 堀田圭江子