堀田圭江子/音楽療法セラピスト®、音楽療法士、産業カウンセラー
堀田圭江子
洗足学園音楽大学 声楽家卒業。高校教員を経て音楽療法士となる。
25年以上の音楽療法の臨床経験を生かし「音楽療法セラピスト®養成講座」を主宰。
音楽療法セラピストを志す後進の育成にもあたっている。

本日は、
重度の認知症の方から、3感を刺激して反応を引き出すというお話しです。

先日ある高齢者施設でセッションをしました。

このグループは
重度の認知症の方5名で、
自発的な言葉や反応が少ない方たち
です。

今回は、「朧月夜」を使った歌のプログラムをしました。

まず歌詞をみんなで音読し
朧月夜を歌いました。

そして
クライアントさん全員に
「歌詞に菜の花とありますね。さて菜の花は何色でしょうか」と
私は質問しました。

しかし
どなたからも答えは返って来ず(汗)。

なので
あるクライアントさんに
ヒントを出し、時間をかけて待って出た答えが

「赤」でした。

そこで私は
隠し持っていた菜の花を差し出し、

「ジャーン。これは何の花でしょう」

と言いました。

すると
クライアントさんたちは
目を大きく開いて

「菜の花」

と全員が答えたのです。

さらに

「黄色、黄色」

先ほど赤と言ったクライアントさんが
答えているではありませんか。

調子ずいた私は(笑)
それから

  • 菜の花の調理の仕方
  • 菜の花はどこで見たことがあるか
  • 菜の花は誰と見たのか(幼馴染の名前を思い出す)

などを質問し
今は春の季節であることを確認し
菜の花を手にとって味わいました。

そして
再度「朧月夜」を歌ったのですが
最初に歌った時より
みなさんとても声がよく出ていました。

3感を刺激して反応を引き出す

このように
高齢者(特に認知症)のセッションでは
お花や野菜、果物などの
季節を感じられる小物を取り入れることがあります。

小物を使うことで

  • 触れる(触覚)
  • においを嗅ぐ(嗅覚)
  • 見る(視覚)

3つの感覚が刺激され
記憶を辿ることが容易になる場合がある
からです。

もちろん
音楽も聴覚を刺激しますし、
昔の記憶を呼び起こしやすくする特性もある
のですが、

さらに小物も取り入れると
クライアントさんたちの反応がより出やすくなり
音楽との相乗効果が期待できます。

旬の小物をうまく取り入れて
クライアントさんの反応を引き出していきましょう。

高齢者の音楽療法や音楽レクを
担当されている方は
参考にしてみてくださいね。

実は
高齢者の方や認知症の方の
反応を引き出す方法はこれ以外にも
たくさんあります。

そのお話しは
音楽療法セラピスト養成講座「高齢者の音楽療法1・2」で詳しくお話ししています。